「おもしろびじゅつワンダーランド2017」
デジタル・アナログで日本美術を身近に

 とかく敷居が高いと思われがちな日本美術に親しんでもらおうと、アナログ・デジタル両面で工夫を凝らした「おもしろびじゅつワンダーランド2017」が8月31日までサントリー美術館(東京・六本木)で開催されています。江戸時代の絵皿を模した遊び場ではだしで遊んだり、着物をタッチパネル上でデザインしたりと、大人も子どもも楽しみながら学べるアトラクションが満載です。

◆音や映像で体感

 8月の平日に訪れると、夏休みとあって午前10時の会館前から数十人の親子連れらが並んでいました。会場には小学生以下の子どものほか、中高生や一人で来場している大人の姿も。

 まずデジタル系アトラクションから。入り口では、想像上の生き物である鳳凰(ほうおう)を描いた狩野探幽筆の「桐鳳凰図屏風(きりほうおうずびょうぶ)」(江戸時代)がスクリーンに映し出されます。屏風が徐々に開き、全体が見えたかと思うと、鳳凰が屏風を抜け出して飛び立ちます。光り輝きながらはばたく鳳凰の姿は圧巻です。

 子どもたちが大喜びしていたデジタルの仕掛けは、マイクに向かって大きな声で叫ぶと、高さ2.2メートルの巨大な徳利形オブジェの表面に色とりどりの模様が浮かび上がるもの。絵の具を吹き散らしたような模様「吹墨文」がある「染付吹墨文大徳利(そめつけふきずみもんおおどくり)」(江戸時代)にちなんでいます。オブジェの周り4か所に設置されたマイクに向かい、子どもたちは「あ、い、う、え、お!」などと叫んでは、浮き出す模様に見入っていました。

 大人にもお勧めなのは、タッチパネル上で着物をデザインする仕掛け。花束や鳥のサギなど、様々な江戸時代の柄をドラッグして着物の型の上に置き、人形に着せます。すると、壁のスクリーンに自分がデザインした着物が映し出される仕組みです。柄は数種類の中から選び、好きな数だけ載せられます。何度も挑戦できるので、やるうちにデザインが上達する人も多いそう。

◆江戸時代の絵皿が遊び場に?昔話も現代語で

 アナログでは、巻物や打ち出の小槌といった「宝物」が描かれている作品を集めた「宝尽(たからづくし)ルーム」が子どもに大人気。江戸時代に作られた絵皿「色絵寿字宝尽文八角皿(いろえことぶきじたからづくしもんはっかくざら)」をモチーフにした直径3.6メートルの遊び場を設置し、その中を宝物をかたどったクッションでいっぱいにしました。はだしになった子どもたちは、歓声を上げながらクッションを集めたり、クッションに書かれた宝物の説明を読んだり。江戸時代の宝物の模様をあしらった布の展示も美しく、見所です。

 また、ネズミの権頭(ごんのかみ)が人間の姫と結婚するという物語「鼠草紙絵巻(ねずみのそうしえまき)」では、絵巻物に加えて、あらすじやセリフなどを現代語に置き換えた特別バージョンも展示。物語を読み聞かせるような特別音声ガイドも好評だそうです。

 子どもはもちろん、美術鑑賞は苦手という人も楽しめる展覧会です。8月31日まで。