「北斎とジャポニスム」展
北斎の新たな魅力
が見つかるかも

 江戸時代後期の絵師、葛飾北斎(1760~1849年)の作品約110点と、その影響を受けた西洋の芸術家の作品約220点が一堂に会する「北斎とジャポニスム」展。海外の傑作を堪能しつつ、北斎の新たな魅力を発見する絶好の機会です。

 読売新聞の特集によると、ジャポニスムは欧米の美術家が自分たちの芸術を発展させるために、日本美術の表現方法を取り入れた現象で、19世紀後半に生まれました。1850年代、欧米から外交官が来日し、浮世絵や日本の工芸品を欧米に紹介。さらに67年のパリ万博をきっかけに広く知られるようになりました。

 一方、産業革命やフランス革命を経た当時のヨーロッパは、社会がめまぐるしく変化していました。その中で、モネやドガといった印象派を中心に、画家たちも、ルネサンス以降の遠近法から脱却した新しい表現を模索していたといいます。浮世絵は、印象派が目指す方向と一致していたと言え、中でも当時、最も影響を与えた日本の絵師が北斎だそうです。

 同展では、北斎の絵と、モネやドガといった著名な画家たちがそれらを参考に描いたとされる絵画を並べてあり、見比べながら鑑賞できます。例えば、よく知られているドガの「踊り子たち、ピンクと緑」(1894年)に描かれたダンサーのうしろ姿。「北斎漫画」にあるでっぷりした力士の後姿に触発されたものだそう。素人目にはあまりぴんと来ませんが、ドガは「北斎が描くリアリティある庶民の体に強い関心を持ち、若い女性の体を美しい顔と理想のプロポーションから切り離す」(同展図録より)ようになったと聞けば、納得です。また、フランスのジュール・ヴィエイヤール工房「八角皿・馬櫪尊神」の絵柄は、「北斎漫画」六編の「馬櫪尊神」そのままに見えます。絵画などの美術品に関する著作権の問題は、当時どのように考えられていたのか興味深いところです。

 いずれにせよ、ほかにはない楽しみ方ができる美術展です。来年1月28日まで国立西洋美術館(東京・上野公園)で。

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